11/3(祝)三種町|農業体験|はたけやま椎茸園「もぎ取り体験」

2022.11.07

はたけやま椎茸園【原木椎茸もぎ取り体験】

11月3日(祝)小雨の中、はたけやま椎茸園の「原木椎茸もぎ取り体験」が開催されました。秋田市や能代市まで合計15名の参加者となりました。

はたけやま椎茸園

はたけやま椎茸園の畠山 勝巳さんにお話を伺いました。

はたけやま椎茸園の畠山 勝巳さん

はたけやま椎茸園の「原木椎茸」

秋田県三種町の1ヘクタールあるクロマツ林で原木椎茸の栽培をおこなっている「はたけやま椎茸園」。
野菜や果物には「旬」があるように、椎茸にも旬があります。みなさんはご存じですか?

原木椎茸の旬は春と秋。秋に自然発生する旬のキノコを「秋子」といいます。
旬の椎茸はあまり市場には出回りません。一挙に自然発生しますから、市場に出回る椎茸のほとんどが「乾椎茸」です。旬の生椎茸の特徴は何と言っても「おいしさ」です。菌床椎茸や短期原木栽培とは違い、原木椎茸のおいしさは絶品です。はたけやま椎茸園では、その旬のおいしさを求めて、原木椎茸を栽培しています。

「原木椎茸」と「菌床椎茸」の違い

椎茸の市場流通は90%以上が「菌床椎茸」です。菌床椎茸とは、人工栽培された椎茸ことで、湿度の高い真っ暗な室内で発生を促して、3〜6ヶ月で収穫でき、1年中出荷される椎茸です。

一方、原木椎茸は、自然の森の中の「ほだ場」で2年間かけて菌糸が這いめぐり栽培されます。出荷は菌床椎茸に比べると少ないですが、艶のある茶褐色で色味もいいですし、風味や香り、肉厚さも優れているのが特徴の椎茸です。

はたけやま椎茸園では、本当の椎茸のおいしさをみなさんに届けるべく、原木椎茸の栽培にこだわっています。旬の原木椎茸の味は「陸のアワビ」と言われ、とにかく絶品です。

はたけやま椎茸園の原木椎茸栽培は、昭和34年から始まりました。当時は高度成長が始まった頃で、三種町では出稼ぎも盛んで、秋田県内でもっとも出稼ぎ率が高い地域といわれていました。

そんな中、私の父は「冬でも稼げる農業」をしようと仲間と原木椎茸栽培を始めました。


最初はホダ場の環境を作ることができず、雑菌によって全滅という状況もあったみたいですが、現在のはたけやま椎茸園の松林がホダ場として最高の環境だということを発見し、原木椎茸の生産が軌道に乗っていきました。はたけやま椎茸園のホダ場は、秋田県主催の「ホダ場コンクール」において複数回「最優秀賞」を受賞しています。そのような経過もあり、三種地区で24戸が椎茸組合を組織しています。

はたけや椎茸園では農薬や肥料など化学物質を使用しない

原木椎茸栽培は本来、農薬や肥料など化学物質を使う必要がなく、自然のままで栽培できる唯一といってよい「野菜」です。
しかし、近年では原木椎茸にもさまざまな栽培方法が考案され、ホダ木の消毒に化学物質を使う場合があります。菌床椎茸の場合は「ホダ木」作製段階から消毒などに化学物質が使用され、また、「栄養剤」と称して添加物が使用されているケースもあります。
はたけやま椎茸園では、自然環境そのままで育てていますので、椎茸が大好物であるナメクジが大きな顔をして徘徊しています。これが原木椎茸が育つ環境であり、生態系なのです。

「原木生椎茸」の価値を高めていく

原木の生椎茸は秋田県内ではほとんど市場には出回っていません。何故だと思いますか?
卸売市場にも何回か足を運びましたが、「原木椎茸(自然環境栽培)」は、「菌床椎茸(人工栽培)」と同じような売り方になってしまっていて、品質面でも価格面でも差別化ができていません。結局、品質が良い「原木生椎茸」は道の駅等で少量販売されているのが現状です。
また、椎茸の旬がクローズアップされることも少ないため、原木椎茸の生産者は「乾椎茸」に加工してしまうため、ますます生椎茸での流通が少なくなっていきます。
日持ちしない原木生椎茸を定時・定量の原則で生産、出荷するのは非常に難しいですが、そんな状況を打破すべく、市場流通をさせずに、原木生椎茸の販売を広げ、挑戦し続けたいと思っています。